緩和ケアの知恵
緩和ケアの知恵
緩和ケアに関する臨床的な知恵について、院長と親しい同僚がまとめてきた論文を紹介します。
新城拓也の知恵
(兵庫県・しんじょう医院)
松尾直樹先生の知恵
(秋田県・外旭川病院)
金石圭祐先生の知恵
(東京都・JCHO東京新宿メディカルセンター)
死前喘鳴という亡くなる前になるとみられる、のどがゴロゴロとなる音を軽減するために、アトロピン点眼薬を使う工夫です。
がんによる膀胱小腸瘻という稀な合併症ですが、一度発症するととても排尿の痛みが強くなります。その治療にサンドスタチンを用いた工夫です。
サンドスタチンは、がん性腹膜炎に使われる嘔吐を軽減する薬です。その薬を使用することで実際にはどのような変化があるのでしょうか。その変化をCTで追跡しました。
主治医が患者さんの看取りをすることについて、ご家族はどう考えているのでしょうか。やはり主に診療していた医師に最期を看取ってほしいと思っているのでしょうか。他の医師が看取るとやはりご家族には悪い影響があるのでしょうか。
腹水を連日抜くときの工夫について紹介します。中心静脈カテーテルを使い、漏れを防ぐためにアロンアルファを使用する方法です。
黄疸のかゆみは、薬が効きにくくとても困った症状です。ステロイドも抗ヒスタミン薬も外用薬も効かないときパキシルを使う方法です。
緩和ケアで頻用されているステロイド薬ですが、副作用はどういうものがあるのでしょうか。
お二人の先生とは、年齢も近く、年に数回しか会えませんが大切な同僚で親友です。
ジプレキサは、薬の効きにくいがんの吐き気に使われています。がんによる消化管閉塞(イレウス)の患者さんにどのようなよい効果があるのでしょうか。その報告です。
キシロカイン(リドカイン)を、モルヒネの効かない頑固な咳に使う工夫です。
医療用麻薬を投与中の吐き気はとても困る症状です。そこで、セレネースとアタラックスPを併用するとよいという工夫です。
頑固なしゃっくりには、バクロフェン、ハロペリドール、ガバペンチン、ミダゾラムを使う症例報告があります。リドカインを持続皮下注射して使う工夫です。
倦怠感の緩和に頻用されているステロイド薬ですが、うつ、筋萎縮、高血糖といった副作用があります。これらの副作用を見抜くことが臨床医に求められます。うつの合併のため、投与中のステロイドを中止し、抗うつ薬を追加したり、筋萎縮のためステロイドをプレドニゾロンに変更したり、高血糖のためリンデロン減量したりする症例報告です。
リドカインの全身的な持続投与が
終末期がん患者さんの様々な苦痛を緩和する
可能性があるかもしれないとういう報告です。内服ができない患者さんにとって
リドカインは注射で投与できるのでメリットはその点でも大きいです。
難治性の咳嗽(せき)や吃逆(しゃっくり)にリドカインの持続投与が有効であったことを例に挙げて、その他の症状への可能性についても少し述べています。
松尾先生 新城 金石先生
2017年6月 横浜の学会にて
進行がん患者さんに鼻腔ケアの重要性を報告しています。
鼻くそが呼吸困難の原因になることもあると報告しています。
鼻のケアは簡単ですぐ効果があるのですが、見逃され易いので時に注意が必要です。
在宅医療でも鎮静の必要な、耐えがたい苦痛のある患者さんがいます。その実態について2年間の活動をまとめました。
がん患者さんに対する悪心・嘔吐に緩和ケアの領域でもオランザピンが使用されてきていますが、その平均投与量(3.6mg)や投与期間(18.7日)など使用状況を全国調査したものです。普通の吐き気止めが効かないとき、オランザピンが助けになることがあります。
がん患者さんの不眠に対して、ミダゾラムやフルニトラゼパムの注射剤を単回で皮下投与し、
その効果を報告したものです。
がん患者さんが不眠を訴えられることは比較的多く、眠剤はしばしば使用されています。
一方で薬の内服が難しくなってこられる方も多くおられます。
その場合に眠剤の単回皮下投与は点滴などの末梢ルートを確保することなく、比較的簡単に使用できるので
とても便利な使用方法です。